葬送儀礼について語りたい(2024-10-06 日曜日)

YouTubeショートを見てたらこんな動画が流れてきた。

https://youtube.com/shorts/b3kfDR_QOlM?si=zfgp72S8k9Qc2WBY

先日「アヒルと鴨のコインロッカー」という映画も観たからこの喪葬方式が気になった。ちょうど家にあった、陶立璠『中国民俗学概論』という本を捲ってみたら、天葬(鳥葬・風葬・野葬ともいう)についての記述があり読んでみた。

天葬は古い葬儀方式の一種で史書中にも多く記載があるといい、『隋書』卷八十四「契丹伝」には、「父母死して悲哭する者は、以て壮ならずと為し、但し以て其 の屍を山樹の上に置き、三年の後を経て、乃ち其の骨を収めて之を焚く。因 りて酹ぎて祝ひて曰く『冬丹の時、陽に向かひて食す。若し我射猟せば、時に我をして多く猪鹿を得さしめよ』と」とある。

父母が亡くなったら遺体を山の木の上において、三年後に骨を回収して焼く。酒を捧げて祝いながら「私が狩りをするときは猪や鹿をいっぱいとらせてください」と言う、みたいな感じか。『冬の丹の時〜』のところがよく分からないので、そこが分かる人は教えてください。

本書には原始的な巫術行為に端を発すると書いてある。原初的な死生観についての話を見聞きすると、先祖を厚く葬るか否かで遺された者の予後が決まるというのをよく見る。別の書籍だが、「鬼」の起源もそういうところにあると前に読んだ。

インド、ミャンマーカンボジアなどの仏教国では天葬を行うらしく、アヒルと鴨のコインロッカーのドルジもブータン出身だから例に漏れない。

現在の日本人の価値観で見ると衝撃的な葬儀方法だが、日本でも死に場所に山深い場所を選ぶ人は多い。ただ人気が少ない場所だからという理由だけでなく、人間の根幹を成すような原始的な思想に基づいて、そのような場所を選ぶのではないか。都会の生活に疲れた人が、田舎移住で極端なゼロ円生活みたいなのを営むのも似たような原理ではないか、などと思った。

現在も行われている儀礼の表層的な部分を見るだけでは忌避感が生じてしまうかもしれないが、もっと遡って考えてみたら、単に残虐や非人道的などの言葉で片付くものではないと思える。100%共感はせずとも理解することで見えてくるものもあるよね、という話でした。